医師が解説DOCTOR COMMENTARY

効果的で安全なAGA治療

ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが
毛根に作用して起こる薄毛をAGAと言います。
ミノキシジルやフィナステリドの内服が
最も効果的です。

医師 丸本 桂三

目次

POINT01

Q.AGAとは?


A. AGAとは「男性ホルモン型脱毛症」の意味です。

ジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンが毛髪サイクルの成長期を短くしてしまうことで薄毛が発生します。

毛髪には毛周期というのがあり、毛根が休止期の後、長い成長期が始まります。
DHTはこの成長期に毛根に働きかけて
・成長期を短くする(抜けやすい)
・髪質を細くする
などの悪影響を及ぼします。

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POINT02

Q.AGAの治療は?


A. 内服が中心になります。
外用薬は内服から比べると効果が低いため補助的な役割になります。
頭皮注射やメソセラピーも価格のわりに効果がそこまで期待できません。
内服には
・ミノキシジル
・フィナステリドまたはデュタステリド
があります。
亜鉛やビタミン剤などもAGAの内服として用いられることがありますが、あくまで補助的な意味しかありません。
内服の中心は上の3つの薬の選択になります。

POINT03

Q.フィナステリドやデュタステリドの内服の効果は?


A. 5αリダクターゼという酵素がテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変化させます。
フィナステリドやデュタステリドはこの5αリダクターゼの働きを抑えることでDHTの産生を抑制します。

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DHTが減ることで、薄毛の進行を抑えます。

POINT04

Q.デュタステリドとフィナステリド、どちらが効く?


A. デュタステリドのほうがフィナステリドよりも効果が高いです。
5αリダクターゼにも2種類ありデュタステリドは両方を抑制しますが、フィナステリドは1種類しか抑制しません。
そのため、デュタステリドのほうがフィナステリドよりも効果が高くなります。
さらに半減期と言って血中で薄くなるのにかかる時間が
フィナステリド 4時間
デュタステリド 3週間以上(注)
ですので、デュタステリドは血中にずっと残り続け効果を及ぼしますが、フィナステリドは半日もしないうちに効果がなくなっていきます。
そのため、デュタステリドのほうがフィナステリドよりも効果が高いです。
しかし、性欲減退やEDなどの副作用もデュタステリドのほうが出やすくなります。

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薄毛を進行させるDHTを抑えるわけですから、フィナステリドやデュタステリドは「AGAの進行を抑える薬」という役割の薬です。
つまり、防御的な意味合いの薬ですね。
「発毛させる薬」という効果はそこまで期待できません。
予防的な意味で治療を始められる方にはフィナステリドかデュタステリドの内服でスタートされるのが良いと思います。

POINT05

Q.ミノキシジルの内服の効果は?


A. ミノキシジルは高血圧の薬として開発されました。しかし、副作用として体毛の増加が認められました。
今では高血圧の薬としては全く使われておらず、AGAの治療薬として使われています。
ミノキシジルは毛根の血流を良くすることで毛根の働きを活性化させると言われておりますが、作用機序は詳しくは解明されていません。
しかし、効果は人によっては顕著に出ます。
ミノキシジルの内服は全身に効きますので、頭髪だけでなく体毛も濃くなる場合があります。

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POINT06

Q.AGA治療薬の外用は効果が低め?


A. フィナステリドやミノキシジルの外用薬はありますが、
・皮膚から浸透しにくい
・浸透してもすぐに血流で流されてしまう
などの理由から効果が低めです。
内服をされない場合は外用をお勧めしますが、内服をされている場合、高い治療費を支払って付けるほどの効果はないと考えております。

POINT07

Q.頭皮注射やメソセラピー


A. 成長因子などを頭皮に注入します。
成長因子の注入では効果が分かりにくいです。
多くの場合、内服薬も併用していますので、ミノキシジル内服などで発毛が促進されたりします。
そこにメソセラピーを打っていれば発毛が促進されるのは当たり前です。
もしかしたら、少しは効いているのかもしれませんが、高いお金を支払って契約する価値がある治療とは思えません。
幹細胞系のエクソソームなどの注入は効果がある場合があるようですが、年間100万とか300万円などの契約になる場合が多く、それなら内服でもっと安価に効果的な治療を行えばいいのではないでしょうか?

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POINT08

Q.ミノキシジル内服上の注意点は?


A. ミノキシジルはもともと高血圧の薬として開発されたため血管拡張作用があり内服すると血圧が下がります。
たとえば、血圧が130の方が120に落ちると、血液の流れ方が変わってしまいます。
そのため、様々な症状が出ます。
●めまい・・・圧力が足りないため頭に血が上りにくくなり脳貧血のような状態を起こします。
●頭痛・・・脳の血管を拡張するため頭痛を引き起こすことがあります。
●動悸・息切れ・不整脈・・・内服を始めると血圧が下がるため全身の血流動態が変化します。そのため、動悸や息切れが起こることがありますし、不整脈が起こることもあります。
●むくみ・・・手足や顔などの抹消の血管が拡張することでむくみが出る場合があります。
血圧が低い状態に体が順応してくるとこれらの症状は減ってくる場合が多いですが、減らない場合もかなりあります。
一番確実なのは内服を止めていただくことですので、それをお勧めします。
もし、そこまで症状が強くない場合にそれでも内服を続けたいという場合は減薬するか、あるいは循環器内科の専門医にかかることをお勧めします。

〈多毛症〉
ミノキシジル内服は頭髪だけでなく血流にのって体全体に行き渡るために全身で体毛が濃くなったり増えたりします。
この場合は頭髪にも効いているわけですが、内服を止めない限り、この副作用はなくなりません。

〈肝機能障害〉
これは薬だとほとんどの薬でありえる副作用です。
非常にまれです。

〈心臓疾患の方〉
高血圧の方、狭心症の方は血流動態の変化で病気に悪影響を及ぼすことがありますので、ミノキシジル内服はお勧めしません。
特に狭心症の方は処方を避けるべきです。内服するとしても循環器内科の専門医を持った医院での処方をお勧めします。
糖尿病の方も動脈硬化が進行している場合があるので、お勧めしません。
内服される場合は症状に注意をし、もし不安な症状が出た場合、専門医にかかられることをお勧めします。

〈ミノキシジルの効果の出方、初期脱毛〉
ミノキシジルですが、毛根に働きかけて毛根が動き始めるのにかなりの日数がかかりますし、実際に発毛した毛髪がある程度の長さになるのにはさらに数ヶ月かかります。
そのため、効果を感じるには数ヶ月~半年以上はかかります。
まずは、そのくらいの期間は続ける必要があります。
また、最初の1~2ヶ月に毛髪の抜けが増える場合があります。これは初期脱毛と言いますが、ミノキシジルが毛根に作用している証拠でもあるので、きにせず様子を見るようにしてください。

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POINT09

Q.フィナステリドやデュタステリドの内服上の注意点は?


A. 性欲減退やEDや精液量減少
フィナステリドで1~5%に性欲減退やEDなどが現れます。
男性ホルモンを抑える作用があるためです。
デュタステリドの場合、効果がもっと強いため副作用の出現率も2倍以上になります。
飲んで問題があるようでしたら中止するか減薬することをお勧めします。
フィナステリドとデュタステリドも内服薬ですので肝機能障害の副作用が有り得ますが、非常にまれです。

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文責
医師 丸本 桂三
(あおばクリニック技術統括アドバイザリー)
経歴
昭和62年3月 東京大学医学部医学科卒業
昭和62年6月 東京大学医学部附属病院勤務
平成23年 みずのクリニック(現あおばクリニック新宿院)アドバイザリー就任
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